ぬか漬けぬか漬けは、干したダイコンをぬか漬けにしたもので、略して「沢庵」ともいいます。ぬか漬けの語源については、禅僧沢庵の創製になるとか、「貯え漬」(たくわえづけ)のなまりであるとかいう説があります。 《本朝食鑑》(1697)は「百本漬」というものの別称であるとし、それが沢庵の在住した京都大徳寺から一般に広まって沢庵漬(=ぬか漬け)と呼ばれるようになったとしています。その百本漬は干しダイコンをぬか・こうじ・塩で漬け、重石をのせるもので、《料理網目調味抄》(1730)に見える沢庵漬もこうじを用いるものになっていますが、《四季漬物塩嘉言(しきつけものしおかげん)》(1836)ではこうじを使わず、ぬかと塩だけで漬けこむものになっています。すなわち、日に干して小じわのよった程度のダイコンを、大小によって差はありますが、50〜100本程度用い、合計1斗のぬかと塩で4斗樽(容量約72)に漬けこむととになっています。ぬかと塩との割合は7対3が基準で、夏を越させる場合は5対5まで塩を増やすこともあります。極めて広く普及した漬物で、江戸時代の風俗誌、喜多川守貞の著書『守貞漫稿』には京坂ではどこでも自家で漬けますが、江戸の市民は練馬の農民に頼んで1年分のものを漬けてもらい、必要分だけ随時とりよせるようにしています。それは市中に火事が多いのと空地の少ないことによるものだ、といっているからだとしています。 ぬか漬けは、日本人に昔から愛好された、食物繊維の豊富な発酵食品です。 |
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